【相談内容】30代で3回目の転職活動です。特定の一社に入りたいという考えは持たない方がいいでしょうか?

質問箱にいただきました。テーマは「30代で3回目の転職活動において、特定の一社に入りたいという考えは持たない方がいいのか」です。あなたならどうお答えしますか?

※2022年5月27日(金)14時5分追記:質問者様に回答が届き、お返事をいただきました。

写真の説明はありません。

「この会社に入りたい!」みたいな考えは最高です

結論からいうと、「この会社に入りたい!」みたいな考えは持った方がいいです。むしろ最高です。1社そこまで思い入れのある会社があれば、そのために企業を分析したり、その企業が向かう先に自分がどんな貢献ができるかを定量的にも定性的にも言語化する努力をするはずです。仮に願いが叶わなくても、その過程は次の「この会社に入りたい!」に繋がります。

その恋が成就しなくても、一生懸命にひとを愛し、傷ついた経験は、次のひとを愛する練習になっている。これと同じです。いいこと言おうとしました、反省しています。

質問者様はあまり意識していない可能性がありますが、「この会社に入りたい!」がなくて苦しんでいるひとは多いのです。パーソル総合研究所の調査では「勤続意欲は低いが、転職意向も低い日本」の姿が炙り出されています。平たくいうと「勤め続けたいとそれほど思っていないが、積極的な転職も考えていない。」です。「会社を辞めたい、でも別に転職したい会社はない」という声は1000名上の転職相談に乗ったり、転職エージェントしたりする中でもよく聞こえてきます。

この点からも質問者様の「この会社に入りたい!」は希少性が高いことがわかります。

下手な鉄砲は数打っても当たりません

質問者様の考え方で、一つ懸念点があります。「なんだかんだで100社くらいは応募する必要がありますよね」です。実際はそこまで必要ありません。何が危ないかというと「数打てば当たるだろう」の考え方で10社くらい応募して当たらないと、心が折れます。私のような働き方、キャリア界隈の人間の中には転職活動をさせることが好きなひともそれを仕事にしているひともいますが、実際に選考を受けて合否を突きつけられるひとからすると、心が折れます。転職支援会社から見ても、多くの採用予定企業から見ても、質問者様は「その他大勢のデータのひとつ」なので、基本的に対応は雑だと考えた方が現実に即しています。

転職活動はメンタル消耗戦です。

熱意だけでなくマッチするスキルや実績があっても、面接は落ちます。「おいっ!」て感じですが、「どんなひとかよくわからなかった」というよくわからない理由でお見送りになるケースもあります。おいっ!

推測で恐縮ですが「30代で3回目の転職は、不利なんじゃないか」と、質問者様が考えてらっしゃるのではと思います。これも一面はその通りで、一面はそうではありません。確かに応募する会社が、新卒文化で中途採用に積極的でない会社であれば、転職サイトでも自己応募でも面接まで行くのも難しい可能性が高いです。扉は閉まっています。

反対に中途採用に積極的な会社であれば「経験してきた会社の話ができればいいよ」くらいな会社もあります。ある面接官は「私は30代で8社転職してきたから、社数が多いほどテンション上がるね!」と話していました。上がっとる場合か。なんでこのひとが面接官(しかも人事の役職者か)というと、「ダメなジョブホッパーといいジョブホッパーの差がわかるよね」ということです。

このあたりは考えはじめると、変数が多すぎて目がくらみますね。

「私の経歴、きれいではないのよね」と思ったら裏玄関へどうぞ

なので、「30代で3回目の転職は、不利なんじゃないか」と仮定している場合は、転職の裏玄関市場も視野に入れてみてください。知人紹介、SNS、リファラル、イベント、勉強会で知り合ったひとから繋げていきます。そのときは、職務経歴書や履歴書以外の資料もつけてください。志望動機書や仕事の成果(機密情報には注意してください)、可能であれば知人の推薦の言葉を含めることをおすすめします。

佐野は20代前半で早期退職2回、20代後半で介護離職を経験しているので、こちらの裏玄関市場になります。表玄関は盛大な音を立てて閉まりました。B’zの「未成年」のサビの歌詞が流れてきますね(こない)。

表玄関は転職エージェントや転職サイトといった、いわゆるわかりやすい会社でわかりやすい職種でわかりやすい成果を上げている20後半〜30中盤くらいのひとの転職市場です。一部のひとのものです。羨ましい妬ましい。

転職活動は結婚ではありません

世間では「転職活動は結婚です」と聞くことがありますが、そうではありません。比喩として「結婚生活を送れるくらい相性がいい企業に入社することが大事」という意味ではありますが、結婚生活を送れるくらい相性がいいかどうかわかることはありません。実際に業務を一緒にやってみるという選考でない限りは、入社前にわかるのは「面接の場での相性」です。これが入社後の上司ガチャや配属ガチャを生む原因のひとつです。転職活動は、ガチャ。

「この会社に入りたい!」みたいな考えは、選考中のエネルギーとしては最高に貴重です。どんなに優秀なマラソン選手でも、空腹では走れません。プロ意識で走れそうだから怖い。

なので、「この会社に入りたい!」熱をちょっと冷まして、コントロールできるようになっていただけたらと思います。どういうことかというと、「熱を冷ます」でいうと、「最高の会社はあるけれど最高でい続けてくれる会社はない」という事実を思い出すことです。質問者様も「この会社に入りたい!」と思わせてくれる会社も、変わり続けるからです。このあたりは拙著『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)の第1章、P68をご覧ください。鮮やかな宣伝。

人類学者ヘレン・フィッシャー博士のベストセラー著書『愛はなぜ終わるのか―結婚・不倫・離婚の自然史』では、「愛は4年で終わる」とされています。もし質問者様の「この会社に入りたい!」の裏付けに感情的なものしかない場合は、「この会社に入りたい!」も入社数年後で萎むと考えていただいてOKです。

ここからが「この会社に入りたい!」をコントロールする段階です。転職活動は「えいや」の勢いや感情が必要ですが、それが故に「内定を取ること」「入社すること」がゴールになりがちです。これの何が悪いかというと、「短期的には正解、長期的には不正解」な意思決定に陥りやすいからです。「給料が上がりました、最高です。3年後、体調を崩しました」なんてことはよく聞くケースです。

なので、「この会社に入りたい!」をコントロールするということは、長期的な視野を持つということです。普通すぎてつまらんですね。

もう少し分解すると、その会社が向かいたい先に自分の経験や人生が貢献できるか。つまり会社と共走のスタンスが持てるかが鍵です。これも推測で恐縮ですが、「この会社に入りたい!」という質問者様の熱は、その会社のこれまでといまに集中しているように思えます。なので、時間軸を未来にまで伸ばしてください。その会社の未来を捉え、その未来づくりに自分も参画できる実感があり、その根拠を示せれば、願う転職活動になるはずです。

その会社の未来は財務諸表や株主説明会資料、プレスリリースを見てください。ポイントは客観性が高いことです。採用用にラッピングされていないこと、形容詞と副詞を情報から省くことで未来が見えてきます。ひとでいうところの「言ってることより実際にやっていることが、そのひとの人間性」です。会社も同じですね。「採用用にデフォルメされている会社よりも、事業として推進している会社が真の姿」です。

というように、「この会社に入りたい!」熱をコントロールしていただければと思います。その上で、内定を取ったあとに「この会社に入りたい!」熱が残っていれば、GOサインです。

まとめ

まとめます!
(1)「この会社に入りたい!」みたいな考えは持った方がいい。その1社のためにとった努力が、また「この会社に入りたい!」を見つける財産になる
(2)「なんだかんだで100社くらいは応募する必要がありますよね」は危険。転職活動はメンタル消耗戦
(3)「30代で3回目の転職は、不利なんじゃないか」と仮定している場合は裏玄関を視野に入れる
(4)転職活動は結婚ではない。その会社が向かいたい先に自分の経験や人生が貢献できるかが重要

それでは最後に、歌詞を見ながら聞いてください。GLAYで「BEAUTIFUL DREAMER」。(趣味です)

こういった匿名の質問はこちらからどうぞ〜。
●質問箱
https://peing.net/ja/taishokugaku

●マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/atsuhiko_kamiya

経営者、人事の方へ〜優秀なひとほど、応募を控えています〜

ここからは、経営者、人事の方など採用に携わっている方へのメッセージになります。質問者様のように、年齢を気にして応募をためらう方は想像以上にたくさんいらっしゃいます。もし「応募が少ないなぁ」などの悩みがあれば、中途採用比率や採用インタビューで社数の多いひとを前に出してください。スカウトを送る際にも、年齢関係なく活躍している社員がいることを示すデータやコンテンツを送ってみてください。

優秀な方ほど、自分への評価が厳しく、応募する企業の数も少ないです。こちら側が気にしていない経験社数などから、実は隠れた一貫性があるにもかかわらず、謙虚に「目に見える専門性はない」と低く見積もってしまうケースがあります。事業開発や〜戦略室といった大きな括りのひとは特に。最近はPdMなんかもそうですね。「成果を上げるためには職域問わず動いていました、としか言えないんですよね」はよく聞きます。そのマインドが素晴らしい。

採用の場面、特に採用広報や採用ブランディングの文脈では「応募のハードルを上げること」が重視されます。採用側には「甘い会社だと思われたくない」「就労意識の低いひとは応募してほしくない」という心理が働きます。パーソル総合研究所の調査を見ても、足切りの意識は重要です。「なんだこのひとは・・・」という応募者とは面接で1分も話したくないのも、心理であり真理です。

一方で、足切りと同時に必要な意識は「応募者の不安を取り除く」です。年齢もそうですし、性別も気にしています。何の根拠もない「開発経験5年以上」の「5年以上」も削除してください。いまはSNSや検索で「●社名● ※ブラック企業」、「●社名● 評判」、「●社名● 給料」、「●社名●退職理由」、「●社名●有休消化率」、「●社名●パワハラ セクハラ」と調べられています。toCで大量にいい感じのCMを売っている企業以外は、9割の会社は「なんだこの会社、怪しすぎるわ」です。

「うちは大企業でもないし、イケてるスタートアップ感も出してないしなぁ」とお感じの経営者、人事の方にとって必要な採用広報の鍵は「怪しさを減らす」です。「自分たちは360度ブラック企業に見える」くらいの意識でOKです。この意識から生まれる採用情報の発信によって、設立数年のスタートアップも、toBの知られざる優良企業も、転職の候補企業に入ります。
※「ブラック企業」は差別用語ですが、わかりやすさを重視して今回は特別に使用しています。正確には「法令違反企業」です。

転職と退職の現場からは以上です。

退職学/リザイン・マネジメント(Resign Management)/パワーワード・パートナー:佐野創太

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