“ブラック企業”につかまるひとの頭の中を公開します〜感想『飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る』〜キャリアの休憩室Vol.4〜

おはようございます。
退職学®︎の佐野創太(@taishokugaku)です。

仕事柄「どのタイミングで転職するのがいいですか?」「いま会社を辞めるのは逃げですか?」と聞かれることが多いです。
そのヒントを探るために手に取りました。

特に「いまちょっとピンチかも」「攻めてるばかりじゃない」状況にいる方におすすめです。
>『飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る』ぱやぱやくん (著)扶桑社
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「辞めたいときに会社なんて辞めればいいんだよ」がウソな理由

著者は「私は「会社をやめたい」という気持ちが強い人には、転職をあまり進めません」と書いています。理由はこれです。

「やめたい気持ち」が先行すると、転職先がブラックな香りがしても、「いや、たぶん大丈夫⋯⋯」といろんなサインを見落としてしまうからです。(P153)

言い換えれば「会社辞めたいと思っていない時が、転職のベストタイミング」です。「いやいや、辞めたい時に辞めるのがいいだろ」と考えられることが多いですが、そうすると面接の違和感や求人票の甘い言葉に騙されてしまいます。

転職活動は不満からはじまりますが、いざ転職するときは「いまの会社も悪くないんだよね」という健康状態であるかをチェックする。
転職・退職の間違えやすい点を本書は教えてくれます。

毒になるやさしい本と薬になるやさしい本の違い

続けて著者は「地の底は深いので気をつけてください」という警告も発していますが、全体的にやさしい本です。
例えばこちらです。語尾に思いやりがあります。

陸上自衛隊でのメンタルヘルス研修で、
「災害派遣や海外派遣時の入浴で、蛇口やシャワーの水を長時間ボンヤリと眺めている隊員がいたら、よくケアをしたほうがいい」
と教わったことがあります。人は精神的な疲労がたまると、単調な動きを見続ける傾向にあるそうです。
もし単調な動きをずっと見ていられるのであれば、疲れている可能性があるので、お大事になさってくださいね。(P36)

やさしいからといって、甘やかす本ではありません。「あなたが一番大事です。逃げてください」とやさしく包み込むけど「逃げた後は自己責任です」と突き放すやさしさが増えていますが、本書は現実的な視点も提供してくれます。

世間には、「出世しよう!」や「成功するためのコツ!」などの情報があふれていますが、焦らないでください。
仕事を定時に終わって、趣味を充実させたり、教養を高める生き方も断然アリです。
前のめりに生きると疲れちゃうなら、人の半歩後ろで生きるのもアリじゃないかなぁと思っています。
ただし、他人からやさしくされたかったら、ちゃんと勉強したほうがいいです。勉強してオンリーワンのスキルや知識を身につけると、周りがやさしくしてくれます。でも、そうした「武器」がないと、いつまでもひどい扱いを受けます。
もちろんスキルや知識があろうがなかろうが、人にやさしくする意識は大切です。しかし現実は、スキルや知識がない人間は、労働市場でぞんざいな扱いを受けやすくなります。
転職活動をするとわかりますが、あなたの人間性は、
「スキル」がないと面接官には評価してもらえません。
「やさしくされたければ勉強しよう」が、私が学んだ処世術のひとつです。(P178)

「その勝負、そもそもしたいんだっけ?」

やさしさも厳しさも織り交ぜているメッセージの数々から感じるのは、「決定権はあなたにあるよ」というメッセージです。「この状況を変えるも耐えるも、自分で選ぶことができる」と思える勇気をくれます。

人生は残念ながらほぼ負けます。勉強でも、仕事でも、恋愛
でも、競争するかぎり敗北は避けられません。
では、勝利はどこに求めるかというと「自分との闘い」です。
弱い心に勝てば、勝利です。
今日の私は、寒くてお布団から出たくなかったけど出社しま
した。つまり大勝利です。(P189)

「あなたは何と戦っているの?」「その試合、出たいの?」と問われ、「ルールはあなたが変えていいんだよ」とそっと背中を押してもらえました。

これから転職・退職、キャリア、働き方論は冬の時代に入ります。(もう入っているかも)出世や独立、成長といった獲得の物語と同じくらい喪失の物語も大切になります。早期退職、介護離職、会社の統廃合、体調の変化などなど。予期せぬマイナスが増えていきます。

そんなときに本書が教えてくれる「回復術」を身につけておくと、どんな状況になっても「飯は食えるときに食っておけばいいし、寝れるときに寝ておくか」とじたばたしなくなるはずです。もがくと沼は深みにハマるんですよね。

「守り方がわかった方が攻めれるんだよね」と考える方に、特におすすめの本でした。

「前職は宝なり」の理由

余談ですが、著者が自分が所属していた組織である自衛隊について感謝と尊敬の念を込めて書いている点が、今後のキャリアの作り方のお手本になりました。これからは出戻りしたり、元同僚と転職先で一緒に働くといった「再会」が増えます。そのときに以前の職場の発信ひとつで、未来の転職先や独立時の取引先を得ることもできれば、失うこともあります。

それに、自分がいた会社を否定することは、そこで働いていた自分の経験を否定することになります。いいことはひとつもないんですよね。前職に否定的なひとは面接で落とされますし。

回復術といったメンタルハック本としても、キャリア本としても読める一冊です。退職学の教科書だな〜。

帯を外すと寝れるときは寝ている犬が出てきます。かわいいっ。

転職と退職の現場からは以上です。

退職学/リザイン・マネジメント(Resign Management)/パワーワード・パートナー:佐野創太

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