キャリア相談をしていると、ほとんどの方が同じ一言から話しはじめます。「こんなこと相談していいのかわかりませんが」。
申し訳なさそうに、少し小さな声で切り出す。まず謝ってから、ようやく本題に入る方がとても多いんです。
この一言には理由があります。そしてその理由こそが、やさしい人の一歩を止めているものでした。ダイヤモンド・オンラインで始まった連載の第1回に、その話を書きました。
なぜキャリア相談はあの一言から始まるのか
理由はシンプルで、相手に迷惑をかけたくないからです。まとまらない話で時間を取らせたら申し訳ない。だから「ちゃんと整理してから相談しよう」と考える。その気づかいは、まじめさでありやさしさです。
ただ整理しているあいだに時間だけが過ぎていきます。「もう少しまとまったら」と思っているうちに相談のきっかけを逃してしまう。いちばんもったいないのは、相談できないまま一人で抱え続けることのほうでした。
本当はきれいにまとめてから話さなくて大丈夫です。むしろ、まとまらないまま話しはじめたほうがその場で考えが整理されていきます。小さな声で話していた方が「そのままで大丈夫ですよ」と受け取られると、だんだん声が大きくなる。そして「そういえば」と、自分でも忘れていた本当の気持ちを思い出していきます。
そのあたりの詳しい話はダイヤモンド・オンラインの記事に書きました。
整理するほど本音が言えなくなる
じつは「整理してから」がもったいない理由は、もう一つあります。字数の都合で記事に書けなかった話です。
相談の前に頭の中で整理すると、たいてい情報だけがきれいに並びます。現状はこうで選択肢はAとB、それぞれの良し悪しは、と。でも情報で固めるほど「本当はどうしたいのか」という気持ちが後回しになります。
整ったきれいな相談ほど、聞いていても本人の体温が伝わってきません。逆に「うまく言えないんですけど」と崩れたまま話す方のほうがぽろっと本音をこぼします。思考渋滞の正体は、情報を足しすぎて感情と意味が見えなくなっている状態です。一人で整理するのは、その渋滞をさらに増やす作業でもあります。
私自身、ずっと相談するのが下手でした。こんな中途半端な状態で話したら悪いなと思って、まとまってから、まとまってからと抱え込む。結局まとまらないから相談なのに、一人でぐるぐるしていました。
だから最近は、整理しないまま、いちばんモヤっとしている所から話すようにしています。「そういえば」は準備した質問の外側からやってくる。それを待つより、崩れたまま話しはじめたほうが早いんです。
これは全4回の連載です
この話は、ダイヤモンド・オンラインで全4回の連載になっています。相談とキャリアのことを、毎日すこしずつ書いていきます。
- 第1回 「他人に相談するのが苦手な人」が勘違いして損していること(公開中)
- 第2回 「頭悪いんですよ、私」「思考力に自信がなくて」と悩む人に共通する意外な強み(10/4 17:30)
- 第3回 転職したいけど志望企業が決まらない。背中を押すGLAY・TAKUROの言葉(10/5 17:30)
- 第4回 元ジョブホッパーが40代で編み出した、仕事のイライラをゲーム感覚で乗り切る方法(10/6 17:30)
まとまってからでなくて大丈夫です。頭の中が渋滞したまま、また読みにきてください。
*一人で考えすぎて前に進めない、頭の中が渋滞してほどけない、をゆるめる話は『思考渋滞から抜け出す方法』(あさ出版)に書きました。
最新のお知らせ
(1)【最新刊】『「考えているのに進めない」がなくなる 思考渋滞から抜け出す方法』(あさ出版)
(2)『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)好評発売中
(3)連載|日経BOOKプラス
「20代で頑張り過ぎて短期離職→再入社→介護離職 『70%で働く』に至るまで」

https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/072200743/072200001/
(4)YouTubeをひっそり再開しました

https://www.youtube.com/@sano-souta
(5)出演|TBS CROSS DIG with Bloomberg(Human Insight)
「自分の120%は他人の80%」まじめな人ほど陥る“セルフ搾取”/「『70%で働く』はサボりじゃない」

https://www.youtube.com/watch?v=Y4394uziDQI
(6)出演|PIVOT(PIVOT LIFE)
「70%で働く思考法」――「もっと頑張る」から脱する働き方

https://www.youtube.com/watch?v=IZDu_wZe9Uw
(7)インタビュー|BEST TiMES(ベストタイムズ)
「過重労働・パワハラ・介護離職…七転八倒の仕事人生で偶然出会ったフランクルの言葉とは?【『70%で働く』佐野創太氏インタビュー#1】」
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/4302241/
(8)掲載|日本人材ニュースONLINE(連載「だから社員は辞めていく」)
「社員を退職に追い込む『サイクル酔い』の構造とは」

https://jinzainews.net/26813970/
(9)フェルミ漫画大学:『70%で働く』(日経BP)が漫画になりました
登録者数140万人のマンガで本の内容をわかりやすく勉強できるチャンネルで、拙著が紹介されました。

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書き手(佐野創太)のプロフィール

すり合わせ学の編集長/退職学®(resignology)研究家
法人・組織の「ずれ」を力に変え、個人には本とキャリア相談から次の一歩を届けています。
- 公式サイト:https://taishokugaku.com/
- X(旧Twitter):@taishokugaku
- Instagram:@taishokugaku
- YouTube:@sano-souta
- キャリア相談:お申し込みはこちら
- 匿名で質問・相談:マシュマロ(無料・匿名で送れます)
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著書一覧
(1)『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版/台湾版あり)
・新装版:『脱 会社辞めたいループ 辞めたいけど辞めたくない人のための転職の思考法』(サンマーク出版/タイ版あり)
(2)『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』(PHP研究所)
(3)『転職・退職を考えたら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)
(4)『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)
(5)『「考えているのに進めない」がなくなる 思考渋滞から抜け出す方法』(あさ出版)

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