すり減らないと働けないんですか

キャリア相談で続けるべきか辞めるべきかという問いをよくいただきます。石の上にも三年という言葉が頭にある人ほど、まだ足りないのかもしれないと自分を追い込んでいきます。

体調を崩して前提が変わった

先日30代のマーケターの相談者さんと話していて、はっとする一言をもらいました。昔はどんな負荷にも耐えられたのに、一度体調を崩してから見え方が変わったそうです。その相談者さんが「すり減らさないと働けないんですか。その前提の仕事はもう嫌なんです」と話してくれて、私はしばらく言葉が出ませんでした。

続けるか辞めるかという問いの立て方そのものがずれていたのだと気づかされました。本当に問い直すべきなのはすり減ることを当たり前にしている前提のほうです。三年を我慢するかより、積み上がる三年か、ただ削られる三年かのほうがずっと大事です。同じ三年でも中身はまるで違います。

求人票からすり減らない場所を読む

その相談者さんは求人票の見極め方も具体的でした。「成果にコミット」「スピード重視」と大きく書いてある会社は負荷が高そうだと予測して外していくそうです。長く働いている人の年齢層や会社が続いてきた年数まで見て、すり減らずに続けられそうかを読むそうです。感覚は案外あたるものだと話していました。我慢でしのぐのをやめて前提の合う場所を選び直すと、続けるか辞めるかの二択そのものがほどけていきます。

勢いで辞めないために

ひとつだけ気をつけたいことがあります。今が嫌だという勢いだけで動くと、次の場所でもまた同じ嫌さを探してしまいます。だから辞める前に、会社への不満をいちどぜんぶ書き出して成仏させておくといいです。ノイズが消えると、本当に大事にしたい前提のほうが見えてきます。

私自身、すり減る前提のなかで我慢を続けて体を壊した側の人間です。今はちゃんと働けています。だからあの相談者さんの一言は私にもまっすぐ刺さりました。すり減らないと働けないなんて前提はそもそも間違っている。教わったのはいつも私のほうです。

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書き手(佐野創太)のプロフィール

佐野創太(すり合わせ学の編集長/退職学®研究家)

すり合わせ学の編集長/退職学®(resignology)研究家

法人・組織の「ずれ」を力に変え、個人には本とキャリア相談から次の一歩を届けています。


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